女性ひとりのチトワンツアー

ネパールで女性ひとりの旅は、カトマンズ、ポカラ以外はなんか不安・・・。でも、チトワンツアーだったら、すべてパックになっているので、それほど不安を持たずに行ける。筆者が体験してきた「チトワンツアー 2泊3日(往復交通、宿泊、食事、アクティビティ付)」をルポする。

●12月10日(1日目)

朝7時30分 ポカラのツーリストバスパーク発。バスはエアコン付、WIFI付からローカルバスくらいのバスまで数種ある。10ドル増くらいでシートの良い、エアコン付のバスになる。筆者は旅行会社の配慮で一番高いバスではないが、シートの良いバスにしてもらった。確かにまずまず乗り心地が良く、しかも道中ヒマラヤが見える左側の座席にしてくれた。WIFIは大きな街を通るときはつながったが、山間部はつながらなかった。休憩は2回、1回目は9時半ころお茶屋さんで15分くらいトイレ休憩、2回目は11時ころ30分くらいランチ休憩だった。

カトマンズに向かうプリティビハイウェイをムグリンで右折、タライ・チトワン方面に進む。ここからはバスの右手に深い渓谷が続く。ナラヤンガート、バラトプルというタライの主要都市を通過。チトワン⇔カトマンズの飛行機はここから発着している。

この大きな街を過ぎると、周辺に菜の花畑が現れる。山がない平野(タライ)に一面の黄色い畑が美しい。

13時、チトワン・ソウラハのバスパーク着。予約したホテルのスタッフが待っている。看板を掲げていたり、ホテル名を名乗っていたりする。ホテルはカトマンズ、ポカラほどではないがたくさんある。

「レインボー? レインボー?」と私のホテル名を叫ぶ男性がいて、彼に予約の紙を見せるとホテルの車に案内された。ホテル名の入った上着を着たスタッフ、車なので間違いない。

車は、幌の付いていない軽トラックというのか、荷台の部分に座席がしつらえてある。ここに予約したお客さんが乗り合わせる。私以外に、スペイン人の彼氏とイタリア人の彼女のカップル、中国人の男性1人がいた。みなで軽く挨拶しあっているうちに、車は出発。屋根のない車がガタゴト、菜の花畑を行く。このワイルドさがネパール、タライ。余談だが、雑誌のライターだった私は、取材で初めて訪れたのがタライの村。だから今でもタライが好きだ。

チトワンは世界遺産に指定された自然、野生動物の生息する地域。ホテルはあるが、それ以外はあまり観光地化されていなくて、お土産屋とか外国人向けの派手なレストランとかはない。タルー民族の民家が軒を連ねている。

 

車は10分程度で「ホテル レインボー サファリ」に到着した。レストランに通され、ウエルカムドリンクのオレンジファンタをもらった。予約の紙を渡し、ノートに名前を書いてチェックイン。「どういう段取りのツアーだろう? 日本のツアーのように何時にどこ集合、何時に出発ときっちり決まってるのかな?」と要領がわからず少々緊張していたが、ホテルのマネージャーは「まず部屋に行きますか? それともランチにしますか?」と尋ねる。ヨーロッパ人のカップルと顔を見合わせ、スペイン人の彼が「まず部屋に荷物を置いて、それからランチでもいいですか?」と答え、そうすることになった。観光に出るのは15時から、という。なんかのんびりしている。急かされない。この緊張感の無さがネパールの良いところだったな、とつくづく感じた。

レストランは壁に動物や村の絵が描かれていた。座席数は多いが、私たち4人以外に数人お客さんがいるだけだった。冬だが日差しが暖かく、静かでのどかだった。

 

食事は1日3食ついている。決まったものが提供され、チョイスはない。ランチはマッシュルームスープ、パスタにご飯、ポテト、野菜炒めだった。味はよかった。お茶やお湯はポットからセルフサービスで飲んでいい。飲み物などを無理に勧められない。

 

 部屋に行く。1階建てと2階建ての建物があり、全25部屋。部屋のドアの前がテラスになっていて、テーブルとチェアが置いてある。ガーデンには南国の草木、花があってリゾートムードだ。部屋もきれいだった。ダブルベッドに清潔な布団。トイレ・シャワーも清潔で高級な物を置いていた。トイレットパーパーの予備やバスタオル、石鹸があった。蚊帳がかかり、天井にはファン、使用しないようになっていたがエアコンも設置されていた。お湯、水はしっかり出た。停電はあったが、好感が持てたのは昼間はあえて電気がつかないようにしていたこと。その代わり、夕方以降は発電機でずっと電気が使えていた。お湯はお客さんが観光から帰ってきたときを見計らって、部屋の外側にドラム缶を備えそこで木でお湯を沸かして、供給していた。無駄がなく、きちんとしていた。

 

 15時、さきほどのレストランに集合で観光に出発。スペイン&イタリアのカップルさん、中国人の若い女性が一緒だった。2泊3日の同じ行程のお客さんが一緒に行動する。中国人の若い女性はカトマンズから来て、到着が少し遅れたようだ。バスパークから一緒に来た中国人の男性は1泊2日なのだろう。別の行程の観光に出かけたようだ。

 

 観光は徒歩で出発。ラマさんというガイドさんが3日間とも案内してくれた。ラマさんが「今日はスペイン、イタリア、ジャパン、チャイナの4つの国のお客さんです」という。全員に名前を聞いた。すごいな、と思ったのは、ラマさんは英語はもちろん、私には単語は日本語、中国人の彼女にはぺらぺら中国語を話していたことだ。ホテルのマネージャーも中国語をぺらぺら喋っていた。中国人のお客さんが多いから、即習得したのだろう。こういう語学力はネパールの人ってすごい。

ラマさんは小太りのタマン民族の方で、風貌は日本人のようだ。がっちりした体格で、確かにどこかから動物が現れても退治してくれそうだ。

まず観光に向かったのはホテルから近い、象がいる場所だった。ここの象は、人を襲ったりして捕まえられたのだそうだ。雄で牙が長く、体も大きい。象が畑を荒らしたり、人に攻撃したりする話はネパールの新聞で時々目にする。ラマさんによれば、夜になるとホテルの周辺にも象が来ることがあるそうだ。だから夜、うかつに外に出たりしてはいけないのだろう。

次に、川の方へ行く。すぐにサイが見つかった。2頭いた。1頭は雌で川の向こう岸にいた。私たちは川のこっち側でサイを眺めた。少し離れたところに雄が現れた。この雄は川の中に入ってきた。私たちはラマさんの案内で、離れたところに移動した。サイは川のこっち側に上がってきた。この辺をガイドさんが心得ている。あまり近くにいたら危険なことを。

 

ガイドなしで歩いてしまい、動物に近寄り過ぎて襲われて怪我をする観光客がいるという。ここにはトラ、サイ、ワニ、熊、象など、襲われる可能性のある動物がいる。ガイドさんはいつも周辺に注意を払っている。だから私たちはのんびり歩けるが、簡単に考えてはいけない。

 

そのまま川沿いを歩いて2つの川が合流するところに来た。ここにはワニがいた。川の向こうの森林にトラが姿を現すことがあるそうだが、私たちは見れなかった。

 

この川の岸辺に「タイガーキャンプ」という高級ホテルがある。2泊3日ツアーで700ドル、800ドル。食事の質が上がるらしい。

 

歩いてホテルに戻る。18時から夕食だった。鶏肉に麺、野菜炒め、スープ。これも味は良い。おかわりを聞いてくれる。

 

そして18時半車で「タルー民族のカルチャーショー」を観に行く。舞台に座席数の多いホールで、毎晩19時から公演している。まず司会の女の人が出てきて、ダンスの内容を説明するのだが、この英語が聞き取りづらい。そして、この女の人はタルー民族には見えなかった。

 

白い衣装を着た女性たちが出てきて踊り始めた。高い声で歌う。タルー語なので、なんと歌っているのかぜんぜんわからない。次に棒を叩き合う男性のダンス。少林寺拳法のようで迫力があった。すべて音楽は太鼓と歌声と棒の音。

 

私は初めてきたネパールで、ダンという地域のタルー民族の家に呼んでもらったときに、歓迎の宴をしてもらった。女性が腰を折り曲げて前進する踊りがあった。やはり音楽は太鼓一個だった。良い音で響くのだ。

 

ショーの最後に、観客が舞台に上がってダンサーたちと一緒に輪になって踊った。これが楽しかった。私は初ネパールのタルー民族の家を訪ねたときを思い出した。

車に送ってもらい21時ころホテルに戻る。部屋でWIFIをやって、就寝。

 

●12月11日(木)2日目

 

朝6時にモーニングコール、6時半朝食。トーストと目玉焼き。まだ陽が上がってなくて暗い。そして少々冷える。暖房施設はない。この日は朝から曇りで、気温が低かった。

 

川辺にカヌーに乗りに行く。ガイドのラマさんが案内してくれる。カヌーは7,8人乗りだった。本当に木を繰りぬいただけの細長い舟で、誰か一人でも重心を崩そうものなら転覆してしまんじゃないかと思った。ラマさんが冗談で、「倒れますよー」と舟を揺らしてみせていた。

カヌーは静かに川面を進んでいく。野鳥が川辺にいた。30分以上乗った。

途中の岸辺に舟が着き、降りた。ここからジャングルウォークとなった。カヌーから降りてしばらく、まだ揺れているような気がして、ほんの少しカヌー酔いしたみたいだった。

 

歩き始める前にガイドさんから注意が促される。そしてガイドさんがもう1人増える。「ここは自然に恵まれた世界遺産だが、それなりに動物によって危険な目に遭うこともある。ガイドなしで勝手な行動をしてはいけない」。

 そしてジャングルを歩き始める。棒を持ったガイドさんが前後についてくれる。といっても、そんなに緊張するものでもなく、森林浴、野鳥の声を聞きながら歩く。鹿の家族、猿、孔雀がいた。2時間近く歩いて、橋を渡って川の向こうに戻る。

 

 次に象の「養育センター」に行く。赤ちゃん象がいる。お母さん象が授乳している。お父さん象は野生にいるそうで、時々母子に会いに来るのだそうだ。そのときお母さんはすごく喜ぶという。赤ちゃん象は何頭かいた。一番小さいのは生後2ヶ月だった。一頭つながれているため寝転がってなかなか起き上がれない象がいて、やっと起き上がった。が、また寝てしまう。いったい何がやりたいんだろう? 見ていて飽きない。

 

 ホテルに歩いて帰ってランチ。 

 

 いったん部屋に戻る。なんか足首がむずがゆい。と思って、足を見るとヒルがいた。血を吸われて靴下が血で真っ赤になっていた。さっきジャングルウォークをしたときに濡れた枯葉のところにいたのだ。ヒルに吸われても害がないことは知っていたので、足はちょっと洗って済ましたが、そこに蠢いているヒルをどう片付けたものか? 仕方なし、ホテルの人に言いに行く。スタッフが部屋からつまみ出してくれた。

 

 チトワンは、わりとアクティビティがハードなので絶対にスニーカー、運動靴は要る。サンダルはだめだ。スカートよりもパンツの方がいい。

 

 午後2時半、チトワンツアーのメインアクティビティである「象に乗る」に行く。乗り場まで車で送ってもらい、そこに6,7頭の象が待機している。3mくらいの高さのはしごを登ってその乗り場から象の背中に乗る。背中に1m四方くらいの木の囲いとクッションが着いていて、そこに4人が乗る。ちょっと狭い感じ。象使いの人が象の首辺りに座る。

 

 象使いは若い人から年配の人までいて、みな男性。私たちの象使いはやせたインド人のようなおじさんだった。木の棒を持っていて、それで象の頭や耳辺りを叩きながら前後左右象を動かす。

 

川を渡ってジャングルに入っていく。木の生い茂る森林の中、象が木を踏み分けて行く。象は何頭もいて、象使い同士で声を掛け合いながら行く。どこどこで鹿がいた、こっちに孔雀がいるよ、と。象の背中はけっこう揺れるので、スマホを落っことすんじゃないかと思って、あんまりじっくり写真が撮れなかった。立派な角を持った鹿や孔雀を何度か見た。

 

2時間近く乗っていたような気がする。最後に元の場所に戻って終了。象から降りるときは、象使いがまるで車の車庫入れのように象をお尻からはしごのところに着けてくれる。降りたときに、待機していてくれたガイドのラマさんが「もし50ルピー、100ルピーくらいを持っていたら象使いにチップをあげてくれませんか?」という。私たちは誰も持っていなかった。だって、財布とか持っていたら無くすんじゃないか、と思ってホテルに置いてきたのだ。イタリア人の彼女が「早く言ってくれればねえ」という顔をした。本当に。わかっていればチップくらい払いたかった。今度行ったら用意しておこう。

 

ホテルに戻って18時に夕食。ネパール料理はないのかな?と思っていたら、この夕食はダルバートだった。チキンカレーが美味しかった。私はここに来て初めておかわりした。

 

明日はポカラにバスで戻る。「朝何時に出るんですか?」とホテルの人に尋ねると、「8時半くらいにここを出ます」という。その前に7時にバードウォッチングに行くのだそうだ。盛り沢山だなあ、本当に。象もカヌーもジャングルサファリも思っていたよりも時間がたっぷりだった。ネパールは川も森も山も、アウトドア派には最高の場所だと思う。

 

●12月12日(金)3日目

 

朝6時に朝食。7時に歩いてバードウォッチングに出発。ガイドのラマさんが野鳥の本を持っていて、英語で鳥の名前を説明してくれる。私たちは誰も英語圏の人間じゃないので、いまいち何の鳥だかわからない。唯一ガイドさんが英語、ネパール語、日本語、中国語で教えてくれたのが「かわせみ(キングフィッシャー)」。きらきらしたブルーの体が本当に綺麗だった。

 

8時ころホテルに戻る。8時半ホテルを出発。バスパークまでガイドさんが同行して車で送ってくれた。ヨーロッパ人のカップルの方々はここからルンビニに向かわれた。チトワンからはカトマンズ、ポカラ、ルンビニにツーリストバスで行ける。

バスはヒマラヤを眺めながら、15時にポカラのツーリストバスパークに着。

とても楽しかった。満足。全行程パックになっているので、一人になる危険もない、お金も最初の料金以外は使わない。リーズナブルに満足できる旅だったと思う。

 

 

チトワンツアー(カトマンズもしくはポカラ発着)

カトマンズもしくはポカラからのバス代、宿代、食費、アクティビティ費用込み

2泊3日110〜250ドル(ホテルのランクによる)

1泊2日も可能。

アクティビティに含まれるもの ・象サファリ ・ジャングルウォーク ・象飼育センター見学

・カヌーライディング ・野鳥見物 ・タルー民族のショー見学

 

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